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こんにちは。芝営業部の船橋です。

当部では6/25(水)、2014年度上期第1回シルバーカレッジを開催しました!

 

今回のシルバーカレッジは、平成9年の宮中歌会始預選者である大津留 敬先生を講師にお招きし、“国民参加の「宮中 歌会始」”というテーマでお話いただきました。IMG_5055

 

皆さまは、歌会始についてご存知でしょうか。

歌会始の起源は鎌倉時代中期まで遡ることができ、江戸時代からはほぼ毎年宮中で開催されるようになりました。それまで宮中を中心におこなわれてきた歌会始は、明治時代に入り広く一般国民の参加が認められるようになり、さらに戦後になると預選者の式場への参入が認められるようになったそうです。

毎年2万首を超える詠進歌の中から入選した10名の預選者は、宮内庁から皇居正殿「松の間」に招待され、歌会始で預選歌を披講し、天皇皇后両陛下の拝謁や選者との懇親の場が設けられます。

このように、歌会始は世界的に見ても類のない、国民参加型の文化行事となっています。

 

大津留先生は、ご自身が平成9年に預選者に選ばれた後も、教鞭をとっていた中学・高校の生徒さんを指導され、延べ4名が預選者に選ばれるなど、短歌の指導においてご活躍されています。

シルバーカレッジの講義では、入選した短歌がどのように作りこまれていったかについてのお話や、宮内庁から入選の案内が届いた日の様子、皇居正殿「松の間」での天皇皇后両陛下とのやりとり、夏休みの宿題として中・高生に詠進歌作成を課し、それらの作品が入選を果たすまでのエピソード等を、ビデオや資料を使いながら分かりやすくお話いただきました。

 

大津留先生とその生徒さん達の預選歌を紹介します。(敬省略)

平成9年 お題 「姿」     

あかときの ひかりのなかに 髪を梳く 白寿の母の 姿しづけし

福岡県  大津留 敬

これは、明治生まれの母親が朝の身繕いをする光景を詠んだ歌だそうです。

 

平成11年 お題 「青」       

新しき 羽を反らして 息づける 飛翔間近の 青スジアゲハ

佐賀県  中尾 裕彰(中3)

夏休みの自由研究で取り上げたアゲハ蝶の孵化を詠んだ歌は、史上最年少の入選作品となりました。

 

平成12年 お題 「時」       

指先に 打鍵の重さ 兆しつつ ショパンの「革命」 弾くとき迫る

佐賀県  中尾 裕彰(高1)

中尾さんの作品は2年連続での入選となりました。この作品は、ピアノの発表会での一瞬を詠んだ歌だそうです。

 

平成20年 お題 「火」      

一人見る 花火はさびしいものだよと 赴任の地から 父は電話す

佐賀県  田中 雅邦(中2)

これは、単身赴任をしている父親の心情を詠んだ歌で、この年の詠進歌の中で唯一、花火を「さびしい」と詠んだ歌だったそうです。

 

平成21年 お題 「生」    

熱線の 人がたの影 くつきりと 生きてる僕の 影だけ動く

福岡県  北川 光(中2)  

学校の地理研究部で広島原爆ドームに研修旅行に行った時のことを詠んだ歌で、二つの影を通して人間の「生」と「死」の対比させた感性が際立つ作品です。今までの入選作品の中で初めて、一人称を「僕」と詠んだ歌だそうです。

 

大津留先生には、入選した歌を他にもたくさんご紹介いただき、一人一人の作者の感性や表現力の素晴らしさに感動しました。

セミナーに参加されたお客さまからは、「ニュースでしか見たことのない世界の一部を知ることができて面白かった」、「中学生、高校生の時から歌を学べる生徒は幸せだと思いました」、「自分も良い歌ができたら詠進したいです」、「歌会始に関心がもてるようになりました」などのご感想をいただきました。

大津留先生、とても貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

 

次回のシルバーカレッジは9/9(火)、「未来をみつめる東京タワー~日本文化の発信拠点へ~」をテーマに課外授業を実施予定です。

このシルバーカレッジの模様も本ブログにて報告いたしますので、どうぞお楽しみに!